名簿

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すっかり涼しくなった。台風や雨のせいだけではないのかもしれない。夜には虫の鳴く声が聞かれたりする。食べものだとスイカを口にしたいとは思わなくなったし、からだがお茶などの水分もあまり要求しなくなったようだ。気候でいえば異常気象で関東のほうで竜巻が見られたし、なんでもスーパーセルとか耳新しいことばも聞く。

先日のこと、○○さんがこられ、ちょうど留守をしていたので、また出直しますといって帰られたという。どうせたいした用事でもないのだろう。それから2、3日がたって今度はこちらから訪ねることにした。といっても住んでおられるマンションだけは聞いているものの、何号室かはよく知らない。

案の定、ちがうドアのチャイムを鳴らして不審者にまちがえられてしまった。名前がおなじだったので、てっきりここだと思いこんでしまったのだ。それに必ずしも名札がかかっているともかぎらない。たまたま別棟によく知った人が住んでいて、その人に教えてもらってやっとこさたどりついた。

用件といえば地域に住んでいる老人の名簿がほしいのだという。というのももうじき敬老の日がやってくる。なにかお祝いごとでもあるのかもしれない。それにしてもあまりに日にちがせまっているし、早いほうがいいという。それで仕方なくとんだ役まわりになって、名簿を集めるため地区の老人会の会長のおうちをまわることになったのである。

はじめのうちは大したことはないウオーキングにもなるし、すぐに集まると考えていたら、なんとそのために一日を費やすことになった。あるおうちでは「どうぞ、上がってください」といわれ、断りきれずにお茶をよばれることにもなった。名簿といってもすぐに取りだせるものではなく探すのに時間もかかる。

それにやっと見せてもらえた名簿をそのままいただけるわけではなく、いったん預かって家にかえってコピーをとり、また返しに行くことになる。それに留守のおうちもあったりして、いくたび町内を行ききしたことだろう。雨のやむ合間をぬって全部を集めるのに、とうとう夕方までかかってしまい、歩数計は1万5千をこえていた。

それにしてもすでに亡くなられた前任の役の人も同じようなことをやられていたのだ。老人会の用事でなんども訪ねてこられることがあった。そのときの対応がけっして歓迎したものでなかったのはたしかだった。また面倒なことを持ちこんできたとか、正直あまり顔も見たくなかったのである。

立場がかわってはじめてその大へんさがわかるということだろうか。同じようなことで親の苦労子知らずと、もう言いふらされていることであるのだけど。ともあれ名簿のことでは一段落したけれど、秋にはさまざまな行事が待っている。予測できない昨今の気象のように、大あわてすることもやってくるにちがいない。

半ズボンにやっかみを聞く

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